#include <unistd.h> int getopt(int argc, char * const argv[], const char *optstring); extern char *optarg; extern int optind, opterr, optopt; #define _GNU_SOURCE
#include <getopt.h> int getopt_long(int argc, char * const argv[], const char *optstring, const struct option *longopts, int *longindex); int getopt_long_only(int argc, char * const argv[], const char *optstring, const struct option *longopts, int *longindex);
新たなオプション文字を見つけると、 getopt() はその文字を返し、 外部変数 optind とスタティックな変数 nextchar を更新する。 これらによって、 getopt() は次回の呼び出しの際に、 以降のオプション文字や argv 要素のスキャンを継続できる。
オプション文字がそれ以上見つからなくなると、 getopt() は -1 を返す。そして optind は、argv の要素のうち、 オプションでない最初の要素を示すようになる。
optstring は受け付けるオプション文字からなる文字列である。 文字のあとにコロン (:) が置かれている場合は、 オプションには引き数が必要であることを示す。 このとき getopt() は、現在注目している argv 要素で、オプション文字に引き続くテキストへのポインタか、 あるいは次の argv 要素のテキストへのポインタを optarg に代入する。 2 個連続してコロンが置かれている場合は、 そのオプションは引き数をとってもとらなくてもよい。 現在の argv 要素にテキストがあれば (つまり、"-oarg" のように、オプション名自身と同じワード内に テキストがある場合)、それが optarg に返される。 なければ optarg は 0 に設定される。 これは GNU による拡張である。 optstring に W とそれに続くセミコロンが入っていると、 -W foo は長いオプション --foo と同じように扱われる (POSIX.2 は -W オプションを実装依存の拡張として予約している)。 この動作は GNU による拡張であり、glibc 2 以前のライブラリでは 利用できない。
デフォルトでは getopt() は argv をスキャンする際に順序を変更し、 オプション以外の要素を最後に移動する。 他にも 2 つのモードが実装されている。 optstring の先頭文字が '+' であるか、環境変数 POSIXLY_CORRECT が設定されている場合には、オプションを対象とする動作は、 非オプションの引き数が現れた段階で終了する。 optstring の先頭文字が '-' である場合には、 オプションでない argv 要素は、 文字コード 1 のオプションであるかのように扱われる (これを用いるプログラムは、 オプションや argv 要素を任意の順序で受け入れ、かつそれらの順序が 意味を持つように書かれている必要がある)。 "--" は特殊な引き数で、スキャンのモードによらず、 オプションのスキャンを強制的に終了させる。
認識できないオプション文字があると、 getopt() はエラーメッセージを標準エラー出力 stderr に表示し、 その文字を optopt に保存して '?' を返す。 呼び出したプログラムで opterr を 0 にしておけば、 エラーメッセージの表示を抑制できる。
getopt() は argv の中に optstring にないオプション文字を見つけた場合、 またはオプション引き数が足りないことが分かった場合、 '?' を返して外部変数 optopt をそのオプション文字に設定する。 optstring の (上で説明したオプションで指定できる '+' または '-' 後に続く) 最初の文字がコロン (':') のとき、 getopt() はオプション引き数が足りない場合に '?' ではなく ':' を返す。 エラーを見つけた場合で、かつ optstring の最初の文字がコロンでなく、 かつ外部変数 opterr が 0 でない場合 (これがデフォルト)、 getopt() はエラーメッセージを表示する。
getopt_long() 関数は、長いオプション (2 つのダッシュ `--' で始まるオプション) を 受け入れることを除いて getopt() と同じように動作する (プログラムに長いオプションだけが渡された場合、 optstring は NULL ではなく空文字列 ("") となる)。 長いオプションの名前は、他と重ならない範囲において短縮できる。 あるいは定義されたオプションに正確にマッチするものでも (当然) かまわない。 長いオプションは引き数を取ることができ、 --arg=param または --arg param と言う形式で指定する。
longopts は struct option の要素からなる配列の、先頭要素へのポインタである。 struct option は <getopt.h> で以下のように定義されている。
struct option { const char *name; int has_arg; int *flag; int val; };
それぞれのフィールドの意味は以下の通り。
配列の最後の要素は、全て 0 で埋められていなければならない。
longindex は、NULL でなければ、 長いオプションのインデックスを longopts からの相対位置として保持している変数へのポインタとなる。
getopt_long_only() は getopt_long() と同様の動作をするが、 '-' も '--' と同様に、長いオプションとして扱われる。'-' で始まる ('--' 以外の) オプションが、長いものにはマッチしないが短いものに マッチする場合においては、それは短いオプションとして解釈される。
getopt_long() と getopt_long_only() も、 短いオプション文字を認識した場合にはその文字を返す。 長いオプションに対しては、 flag が NULL なら val を返し、 flag が NULL 以外なら 0 を返す。 エラーと -1 の返り値は getopt() と同じである。 さらに '?' は、マッチが確定できない場合や余分なパラメーターがある場合にも返る。
古い実装のいくつかでは、 getopt() は <stdio.h> で宣言されていた。 SUSv1 では、 <unistd.h> か <stdio.h> のどちらかで 宣言してもよかった。 POSIX.1-2001 では、 getopt の宣言を <stdio.h> で行うのは「過去の名残」であるとされた。 POSIX.1-2001 では <stdio.h> で宣言を行うことを認めていない。
#include <unistd.h> #include <stdlib.h> #include <stdio.h> int main(int argc, char *argv[]) { int flags, opt; int nsecs, tfnd; nsecs = 0; tfnd = 0; flags = 0; while ((opt = getopt(argc, argv, "nt:")) != -1) { switch (opt) { case 'n': flags = 1; break; case 't': nsecs = atoi(optarg); tfnd = 1; break; default: /* '?' */ fprintf(stderr, "Usage: %s [-t nsecs] [-n] name\n", argv[0]); exit(EXIT_FAILURE); } } printf("flags=%d; tfnd=%d; optind=%d\n", flags, tfnd, optind); if (optind >= argc) { fprintf(stderr, "Expected argument after options\n"); exit(EXIT_FAILURE); } printf("name argument = %s\n", argv[optind]); /* Other code omitted */ exit(EXIT_SUCCESS); }
以下は、 getopt_long() の使用法を、ほぼすべての機能について示したプログラムの例である。
#include <stdio.h> /* for printf */ #include <stdlib.h> /* for exit */ #include <getopt.h> int main(int argc, char **argv) { int c; int digit_optind = 0; while (1) { int this_option_optind = optind ? optind : 1; int option_index = 0; static struct option long_options[] = { {"add", 1, 0, 0}, {"append", 0, 0, 0}, {"delete", 1, 0, 0}, {"verbose", 0, 0, 0}, {"create", 1, 0, 'c'}, {"file", 1, 0, 0}, {0, 0, 0, 0} }; c = getopt_long(argc, argv, "abc:d:012", long_options, &option_index); if (c == -1) break; switch (c) { case 0: printf("option %s", long_options[option_index].name); if (optarg) printf(" with arg %s", optarg); printf("\n"); break; case '0': case '1': case '2': if (digit_optind != 0 && digit_optind != this_option_optind) printf("digits occur in two different argv-elements.\n"); digit_optind = this_option_optind; printf("option %c\n", c); break; case 'a': printf("option a\n"); break; case 'b': printf("option b\n"); break; case 'c': printf("option c with value '%s'\n", optarg); break; case 'd': printf("option d with value '%s'\n", optarg); break; case '?': break; default: printf("?? getopt returned character code 0%o ??\n", c); } } if (optind < argc) { printf("non-option ARGV-elements: "); while (optind < argc) printf("%s ", argv[optind++]); printf("\n"); } exit(EXIT_SUCCESS); }