insmod を使ってドライバをロードする際、 ネットワークアダプタカードのパラメータを コンマで区切られたコマンドの列として指定することができる。 2 つのネットワークアダプタが取り付けられている時に、 例えば、1 つ目のアダプタのポート A の自動ネゴシエーションは ON にするが、 2 つ目のアダプタのポート A は OFF にする場合は、 以下のように入力すればよい:
insmod sk98lin.o AutoNeg_A=On,Off
sk98lin が 1 つ以上のアダプタカードに関連づけられていて、 かつ /proc ファイルシステムがシステムにマウントされている場合、 取り付けられているネットワークアダプタカードの全てのポートについて、 (ポート単位に) 専用の統計ファイルがフォルダ /proc/net/sk98lin に作られる。 これらのファイルは eth[x] という名前であり、 x はインタフェースの番号である。 この番号はシステムによってポート毎に割り当てられたものである。
ロードが完了すると、 ifconfig(8) コマンドを使って、各 eth[x] インタフェースに希望する IP アドレスを割り当てることができる。 これによりアダプタがイーサネットに接続され、 コンソールに状態メッセージが表示される。 このメッセージでは、 "ethx: network connection up using port y" の後に 設定されたり検出された接続パラメータが表示される。
sk98lin はラージフレーム (ジャンボフレームとも呼ばれる) もサポートする。 ジャンボフレームを使うと、大量のデータを転送する際に、 スループットを大幅に向上させることができる。 ラージフレームを有効にするには、 インタフェースの MTU (maximum transfer unit, 最大転送単位) サイズを 大きな値に設定すればよい。 デフォルトの MTU サイズは 1500 であり、 最大で 9000 (バイト) まで設定することができる。 MTU サイズを設定するのは、 インタフェースに IP アドレスを割り当てるときにもできるし、後から ifconfig(8) コマンドに mtu 引き数を指定することで設定することもできる。 例えば、eth0 に IP アドレスとラージフレーム MTU サイズを 割り当てたい場合、以下の 2 つのコマンドを実行すればよい:
ifconfig eth0 10.1.1.1
ifconfig eth0 mtu 9000
これらの 2 つのコマンドは 1 つにまとめることもできる:
ifconfig eth0 10.1.1.1 mtu 9000
ラージフレームを使用できるのは、ネットワーク環境全体がラージフレームを 使用できるようになっている場合のみである点に注意すること。 つまり、イーサネットで使われている全てのスイッチでも ラージフレームがサポートされていなければならない。 多くのスイッチがラージフレームをサポートしてはいるが、 設定を行う必要がある。 多くの場合、デフォルトの設定では標準フレーム (1500 バイトの MTU サイズ) だけしかサポートしない。 ネットワーク内のスイッチに加え、 使用される全てのネットワークアダプタでも ジャンボフレームが有効になっていなければならない。 アダプタがラージフレームを受け取るように設定されていない場合、 アダプタはそのフレームを単純に捨ててしまう。
標準のイーサネットフレームサイズに戻すのは、再び ifconfig(8) コマンドを使えばよい:
ifconfig eth0 mtu 1500
Linux の Marvell/SysKonnect ギガビットイーサネットドライバは、 IEEE 規格 802.1, 802.1q, 802.3ad に準拠する VLAN と Link Aggregation に対応している。 これらの機能は、インターネットにあるオープンソースモジュールを インストールした後でのみ利用可能である:
VLAN: http://www.candelatech.com/~greear/vlan.html
Link
Aggregation: http://www.st.rim.or.jp/~yumo
Marvell/SysKonnect は、これらのオープンソースモジュールに対するサポートは
行っておらず、これらを使った場合に生じるいかなる失敗や問題についても
責任を負わない点に注意すること。
Sym
= Symmetric
リンクパートナの双方が PAUSE フレームを送ることができる。
SymOrRem
= SymmetricOrRemote
リンクパートナの双方またはリモートパートナのみが
PAUSE フレームを送ることができる。
LocSend
= LocalSend
ローカルリンクパートナのみが PAUSE フレームを送ることができる。
None
= None
リンクパートナのどちらも PAUSE フレームを送ることはできない。
このパラメータは AutoNeg_A が Off の場合には無視される点に注意すること。
Sym
= Symmetric
リンクパートナの双方が PAUSE フレームを送ることができる。
SymOrRem
= SymmetricOrRemote
リンクパートナの双方またはリモートパートナのみが
PAUSE フレームを送ることができる。
LocSend
= LocalSend
ローカルリンクパートナのみが PAUSE フレームを送ることができる。
None
= None
リンクパートナのどちらも PAUSE フレームを送ることはできない。
このパラメータは AutoNeg_B が Off の場合には無視される点に注意すること。
ConType | DupCap AutoNeg FlowCtrl Role Speed
--------+-------------------------------------------
Auto
| Both On SymOrRem Auto Auto
100FD
| Full Off None Auto 100
100HD
| Half Off None Auto 100
10FD
| Full Off None Auto 10
10HD
| Half Off None Auto 10
その他のポート引き数を ConType 引き数と組み合わせて指定すると、それらの設定を結合した設定となる。 これは、ポート毎の引き数 (例えば Speed_A) の方が組み合わせ変数 ConType より優先順位が高いためである。
None アダプタカードに対して割り込み調停を適用しない。 よって送信または受信割り込みは、 アダプタカードの割り込み線に現れると直ぐに処理される。
Static
アダプタカードに対して割り込み調停が適用される。
全ての送信または受信割り込みは、調停間隔が完全に終わるまで
キューに入れられる。
この調停間隔が終わると、キューに入れられた全ての割り込みは、
1個の大きな塊として遅延なく処理される。
Static
という用語は、あるインタフェースに現在どれだけの
ネットワーク負荷がかかっているかに関わらず、
割り込み調停が常に有効になることを表している。
さらに、調停間隔の時間は固定で、ドライバが動作している間は変化しない。
Dynamic
システムの負荷に応じて、アダプタカードに対して割り込み調停が適用される。
ドライバがシステムの負荷が高すぎると検出した場合、
割り込み調停を有効にすることにより、
過剰なネットワーク負荷からシステムを保護しようとする。
--- その後に --- CPU 利用率が再び下がった場合
(またはネットワーク負荷が極わずかになった場合)、
割り込み調停は自動的に無効にされる。
ドライバが扱わなければならないインタフェースのうち ネットワーク負荷が高いものが 1 つ以上あり、 --- その結果 --- CPU 利用率が高くなっている場合、 割り込み調停を使うべきである。 ネットワーク負荷が高い状況で調停が適用されると、 遅いコンピュータでは CPU 負荷が 20-30% 削減されるだろう。
割り込み調停を使うことの欠点として、 往復遅延時間 (round-trip-time, RTT) の増加がある点に注意すること。 これは、割り込みがキューに入れられ、まとめて処理されるためである。
この引き数は静的 (static) または動的 (dynamic) 割り込み調停が 有効になっているときにのみ使用される。 この引き数は割り込み調停が適用されていない場合には無視される。
調停間隔の期間は注意して選ぶこと。 一見したところでは、とても長い期間 (例えば 1 秒間に 100 回だけの割り込み) を 選ぶことに意味があるように見えるかもしれないが、そうすると パケット処理の遅延が激しく増加する。 一方で、とても短い調停時間を選ぶと、割り込み調停を使う意味がなくなってしまう。
CheckLinkState リンク状態のチェックのみ: RLMT は、各ポートについてアダプタハードウェアが報告するリンク状態を使い、 そのポートが全てのネットワークトラフィックを送受信するのに使用可能かを 決定する。
CheckLocalPort
このモードでは、RLMT はアダプタカードの 2 つのポートの間で
定期的にパケットを交換することにより、
2 つのポートの間のネットワーク経路を監視する。
このモードでは 2 つのポートが互いに「見える」ような
ネットワーク設定が必要である
(つまり、ポート間にルータがあってはならない)。
CheckSeg
ローカルポートとセグメントをチェックする。
このモードは CheckLocalPort モードと同じ機能を提供し、
更にポート間のネットワークセグメントをチェックする。
よって、このモードはネットワーク上に
スパニングツリープロトコル (Spanning Tree protocol) を
使うように設定されたギガビットイーサネットスイッチが
設置されている場合にのみ使用できる。
DualNet
このモードでは、ポート A と B が別々のデバイスとして使用される。
2 ポートのアダプタを持っている場合、ポート A を
eth[x]
に、ポート B を
eth[x+1]
に設定することができる。
2 つのポートは別々の IP アドレスを付けて独立に使用することができる。
優先ポートの設定は使用されない。
RLMT は無効にされる。
RLMT モード CheckLocalPort と CheckLinkState は、1 つのアダプタ上のポート間でネットワーク経路があるような設定で 動作するように設計されている。 さらに、このモードはアダプタ同士が直結 (back-to-back) で 接続されている状態で動作するようには設計されていない。