IPV6
Section: Linux Programmer's Manual (7)
Updated: 1999-06-29
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名前
ipv6, PF_INET6 - Linux の IPv6 プロトコル実装
書式
#include <sys/socket.h>
#include <netinet/in.h>
tcp6_socket = socket(PF_INET6, SOCK_STREAM, 0);
raw6_socket = socket(PF_INET6, SOCK_RAW, protocol);
udp6_socket = socket(PF_INET6, SOCK_DGRAM, protocol);
説明
Linux 2.2 では、Internet Protocol, version 6 を
オプションとして実装している。
この man ページでは、Linux カーネルと glibc 2.1 での実装に基づいて、
IPv6 の基本的な API を解説する。
インターフェースは BSD ソケットインターフェースをもとにしている。
socket(7)
を参照。
IPv6 API は、ほぼ
ip(7)
v4 API と互換になることを目指している。
この man ページでは相違点のみを解説する。
AF_INET6
ソケットを何らかのプロセスにバインドするには、
ローカルアドレスを
in6_addr
型の変数
in6addr_any
からコピーしてくる必要がある。
static な初期値
IN6ADDR_ANY_INIT
も用いることができ、これは定数式に展開される。
これらの両者はネットワークバイトオーダーである。
IPv6 のループバックアドレス (::1) は global 変数
in6addr_loopback
から取得できる。初期化には
IN6ADDR_LOOPBACK_INIT
を用いるべきである。
IPv4 接続も v6 API で扱うことができる。これには
v4-mapped-on-v6 アドレス型を用いる。
こうすればプログラムは v6 の API をサポートするだけで、
両方のプロトコルをサポートできる。
これは libc 内部のアドレスを扱う関数によって透過的に処理される。
IPv4 と IPv6 はローカルポート空間を共有する。
IPv4 の接続 (またはパケット) を IPv6 ソケットが取得すると、
発信元アドレスが v6 にマップされ、その接続 (パケット) も v6 にマップされる。
アドレスのフォーマット
-
struct sockaddr_in6 {
u_int16_t sin6_family; /* AF_INET6 */
u_int16_t sin6_port; /* port number */
u_int32_t sin6_flowinfo; /* IPv6 flow information */
struct in6_addr sin6_addr; /* IPv6 address */
u_int32_t sin6_scope_id; /* Scope ID (new in 2.4) */
};
struct in6_addr {
unsigned char s6_addr[16]; /* IPv6 address */
};
sin6_family
は常に
AF_INET6
に設定される。
sin6_port
はプロトコルポートである
(ip(7)
の
sin_port
を参照)。
sin6_flowinfo
は IPv6 のフロー指定子 (flow identifier) である。
sin6_addr
は 128 ビットの IPv6 アドレスである。
sin6_scope_id
はアドレスのスコープに依存した ID である
(これは Linux 2.4 で導入された)。
Linux の場合は、これはリンクスコープアドレスでしかサポートされない。
この場合
sin6_scope_id
にはインターフェースのインデックスが含まれることになる
(netdevice(7)
を参照)。
IPv6 は何種類かのアドレスタイプをサポートしている。
単一のホストをアドレスするための unicast、
ホストのグループをアドレスするための multicast、
ホストのグループ中で最も近くにいるものをアドレスするための anycast
(これは Linux では実装されていない)、
IPv4 ホストをアドレスするための IPv4-on-IPv6。
他にも予約済みのアドレスタイプがある。
IPv6 でのアドレス表記は 2 桁の 16 進数 16 個からなり、
':' は区切り文字はで、'::' は 0 ビットの文字列を表す。
特殊なアドレスとして、ループバックを表す ::1、
IPv4-mapped-on-IPv6 を表す ::FFFF::<IPv4 アドレス> がある。
IPv6 のポート空間は IPv4 と共有されている。
ソケットオプション
IPv6 はプロトコル固有のソケットオプションをいくつかサポートしている。
これらは
setsockopt(2)
で設定でき、
getsockopt(2)
で取得できる。
IPv6 のソケットオプションレベルは
IPPROTO_IPV6
である。
ブール整数のフラグは、0 が偽であり、それ以外は真である。
- IPV6_ADDRFORM
-
AF_INET6
ソケットを別のアドレスファミリーのソケットに変える。
現在は
AF_INET
のみが変更先のアドレスファミリーとしてサポートされている。
これが許可されるのは、IPv6 が接続され、
v4-mapped-on-v6 アドレスにバインドされた場合に限られる。
引き数は
AF_INET
が入っている整数へのポインタである。
v4-mapped ソケットを、IPv6 API を扱えないプログラムに対して
ファイルディスクリプターとして渡す場合に便利。
- IPV6_ADD_MEMBERSHIP, IPV6_DROP_MEMBERSHIP
-
multicast グループのメンバーを制御する。
引き数は
struct ipv6_mreq
構造体へのポインタ。
- IPV6_MTU
-
そのソケットに対して用いる MTU の値を設定する。
MTU の大きさは、
そのデバイスの MTU または (Path MTU Discovery
が可能なら) その経路の MTU の大きさ以下でなければならない。
引き数は整数へのポインタ。
- IPV6_MTU_DISCOVER
-
そのソケットでの Path MTU Discovery を制御する。
詳細は
ip(7)
の
IP_MTU_DISCOVER
を参照。
- IPV6_MULTICAST_HOPS
-
そのソケットでの multicast の hop 数の上限値を設定する。
引き数は整数へのポインタである。
-1 を指定すると経路のデフォルトを用いることを意味する。
それ以外の場合は 0 から 255 の範囲を指定する。
- IPV6_MULTICAST_IF
-
そのソケットでの、送信 multicast パケットに用いるデバイスを設定する。
これは
SOCK_DGRAM
および
SOCK_RAW
各ソケットでのみ許される。
引き数はインターフェースのインデックスの整数値
(netdevice(7)
を参照) へのポインタである。
- IPV6_MULTICAST_LOOP
-
ソケットが、自分自身の送信した
multicast パケットを監視するかどうかを制御する。
引き数はブール値へのポインタ。
- IPV6_PKTINFO
-
データグラムの到着時における
IPV6_PKTINFO
制御メッセージを配送するかどうかを設定する。
SOCK_DGRAM
ソケットまたは
SOCK_RAW
ソケットに対してのみ許可される。
引き数はブール値の入った整数。
-
-
IPV6_RTHDR, IPV6_AUTHHDR, IPV6_DSTOPS, IPV6_HOPOPTS, IPV6_FLOWINFO, IPV6_HOPLIMIT
受信パケットのデータグラムに拡張ヘッダが含まれている場合の、
制御メッセージの配送を設定する。
IPV6_RTHDR:
routing ヘッダを配送するかどうか。
IPV6_AUTHHDR:
authentication ヘッダを配送するかどうか。
IPV6_DSTOPTS:
destination オプションを配送するかどうか。
IPV6_HOPOPTS:
hop オプションを配送するかどうか。
IPV6_FLOWINFO:
flow ID を含む整数を配送するかどうか。
IPV6_HOPLIMIT:
パケットの hop カウントを含む整数を配送するかどうか。
制御メッセージはソケットオプションのものと同じタイプを持つ。
これらのすべてのヘッダオプションは、
適切な制御メッセージを
sendmsg(2)
の制御バッファーに書きこめば、
送信パケットにでも設定できる。
SOCK_DGRAM
ソケットまたは
SOCK_RAW
ソケットでのみ許される。引き数はブール値へのポインタ。
- IPV6_RECVERR
-
非同期エラー (asynchronous error) オプションの受信を制御する。
詳細は
ip(7)
の
IP_RECVERR
を参照。
引き数はブール値へのポインタ。
- IPV6_ROUTER_ALERT
-
このソケットで、router alert オプションの含まれる転送パケットを
すべて通すかどうかを制御する。
データグラムソケットかつ root に対してのみ許可される。
引き数はブール値へのポインタ。
- IPV6_UNICAST_HOPS
-
そのソケットでの unicast の hop 数の上限値を設定する。
引き数は整数へのポインタである。
-1 を指定すると経路のデフォルトを用いることを意味する。
それ以外の場合は 0 から 255 の範囲を指定する。
バージョン
IPv6 API を libc5 ベースで Linux 向けに実装した、以前の
libinet6
についてはここでは記述していない。
おそらく細かいところには相違点があるだろう。
Linux 2.4 では 64 ビットのホストに対して
sockaddr_in6
のバイナリ互換性が保たれていない。
in6_addr
のアラインメントが変更され、また
sin6_scope_id
フィールドが新たに追加されたからである。
カーネルインターフェースの互換性は保たれているが、
sockaddr_in6
や
in6_addr
を他の構造体に含んでいるようなプログラムでは
保たれないかもしれない。
これは i386 のような 32 ビットのホストでは問題にならない。
sin6_flowinfo
フィールドは Linux 2.4 で登場した。
これが渡されたアドレス長に含まれていると、
カーネルに透過的に渡され、読まれる。
より長いアドレスバッファを渡し、
そして送信アドレスの長さをチェックするようなプログラムは
うまく動かないかもしれない。
注意
sockaddr_in6
構造体はジェネリックな
sockaddr
よりも大きい。
すべてのアドレスタイプが
struct sockaddr
の中に安全に納められると仮定しているプログラムは、代わりに
struct sockaddr_storage
を用いるように変更する必要がある。
バグ
IPv6 拡張 API は、現在まだ RFC 2292 を完全には実装していない。
2.2 カーネルは受信オプションをほぼ完全にサポートサポートしているが、
glibc2.1 には IPv6 オプションを生成するマクロが存在していない。
EH および AH ヘッダ での IPSec のサポートは存在しない。
フローラベル管理はまだ完全でなく、ここにも記述されていない。
この man ページはまだ完成していない。
関連項目
cmsg(3),
ip(7)
RFC 2553: IPv6 BASIC API.
Linux はこの RFC に準拠するようにしている。
RFC 2460: IPv6 specification.
Index
- 名前
-
- 書式
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- 説明
-
- アドレスのフォーマット
-
- ソケットオプション
-
- バージョン
-
- 注意
-
- バグ
-
- 関連項目
-
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Time: 04:31:48 GMT, November 19, 2007