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Version 1.2 は 2003 年 10 月 29 日に批准され、Version 1.1 を更新した。 Version 1.1 は 2003 年 6 月 21 日に批准され、 Version 1.0 を更新した。 Version 1.0 は 1998 年 12 月 2 日に批准された。
Debian プロジェクトは、 フリーなオペレーティングシステムを作る、 という共通の目的を持った人々の連合体である。
この文書は、Debian プロジェクトの公式な意思決定に関わる 組織構成について記述する。 Debian プロジェクトの目的やその実現方法については記述しない。 また意思決定プロセスに直接関連するものを除き、 方針 (policy) についても記述しない。
このプロジェクトの意思決定は、 以下のひとつまたは複数によってなされる。
この文書の以降の大部分では、上記各主体の権限、 それらの構成、任命手続き、意思決定手順を概観していく。 上記の個人・組織の権限は、他者に監査もしくは制約される場合がある。 その場合、監査する側の組織・個人の項目にてそのことを示す。 上記のリストで先に挙げられている個人ないし組織は、 後に挙げられている者より一般に高い決定権を持つ。 あるいは前者は後者を任命する、という関係にある。 ただし先に挙げられている者が後に挙げられている者の決定を 常に変更できるわけではない。
この憲章におけるあらゆる記述は、 誰かにこのプロジェクトに対する作業を義務づけようとするものではない。 委任された、 または割り当てられた仕事をしたくない場合には、それをする必要はない。 しかし、この憲章の規則に反した、 またこの憲章に従って適切になされた決定に反した行動を、 意図的にとってはならない。
あるひとりの個人は複数のポストを兼任できるが、プロジェクトリーダ、 プロジェクト書記、技術委員会議長の三つのポストは例外であり、 この三つのポストには別々の人がつかなければならない。 またプロジェクトリーダは自分自身を代行者に選んではならない。
ある個人は、公にその旨を表明することによって、 いつなんどきでもこのプロジェクトを去ったり、 特定のポストから辞任できる。
個々の開発者は以下の権限を持つ。
開発者は、このプロジェクトに参加している間、 その目的を進めることに同意したボランティアの集まりである。 開発者はプロジェクトのパッケージの維持管理や、 (プロジェクトリーダ代行者が有意義であると考える) その他の仕事に従事する。
プロジェクトリーダ代行者は新規の開発者を拒絶できる。 また既存の開発者を解任できる。 代行者がその権限を濫用していると開発者たちが考えた場合には、 もちろん一般決議によってその決定を変更できる。 4.1節(3) および 4.2節を見よ。
開発者は、自分が適切と考える通りに決定をしてよい。
開発者は集合体として以下の権限を持つ。
プロジェクトリーダを任命、罷免できる。
3:1 の賛成多数をもって、この憲章を修正できる。
プロジェクトリーダおよび代行者の決定を覆すことができる。
2:1 の賛成多数をもって、技術委員会の判断を覆すことができる。
技術的なものではない方針 (policy) 文書や宣言を公表・更新・撤回できる。
これらには、このプロジェクトの目的を述べた文書、 他のフリーソフトウェア組織との関係を述べた非技術的な方針ガイドライン (たとえば Debian のソフトウェアの満たすべきフリーソフトウェアの許諾条件) などが含まれる。
また日時に関わる立場の表明などもこれらの文書に含まれる。
「Debian 社会契約 (Debian Social Contract)」および
「Debian フリーソフトウェアガイドライン (Debian Free Software Guidelines)」というタイトルの文書である。
プロジェクトリーダおよび SPI と協力して、 Debian に関連する目的のために保有されている 資産に関する決定をする。 (9.1節を見よ。)
開発者の集団は後述する 「標準議事手順 (Standard Resolution Procedure)」に従う。 決議文ないし修正案は、ある開発者によって提案され、 K 人以上の開発者がその賛同者となれば、議事の対象となる。 またプロジェクトリーダまたは技術委員会から提案された 決議文ないし修正案は議事の対象となる。
プロジェクトリーダまたはその代行者による決定を保留する:
投票はプロジェクト書記が処理する。 投票内容・集計・結果は、いずれも投票期間中には公表されない。 投票終了後、プロジェクト書記は投票内容のリストを公表する。 投票期間は二週間であるが、 プロジェクトリーダは一週間以内の範囲でこれを変更できる。
最短の討論期間は二週間であるが、 プロジェクトリーダは一週間以内の範囲でこれを変更できる。 プロジェクトリーダは決定票 (casting vote) を持つ。 必要最低得票数は 3*Q である。
提案、賛同、修正、投票の要請などの正式な手続きは、 プロジェクトリーダ代行者が管理する、 一般から閲覧可能なメーリングリスト上で行われる。 全ての開発者はそのメーリングリストに投稿できる。
投票はプロジェクト書記が適切とする方法で、電子メールにて行われる。 プロジェクト書記は、各投票において、 投票者による投票内容の変更を認めるかどうかを決める。
Q は現在の開発者数の平方根の半分である。 K は Q と 5 のいずれか小さいほうである。 Q と K は整数である必要はないため、丸めはしない。
プロジェクトリーダは以下の権限を持つ。
代行者を任命する。または決定を技術委員会に委任する。
プロジェクトリーダは、その職責の一部や特定の決断事項を定義して、 その責任や決定を他の開発者や技術委員会に委任できる。
特定の決断事項に対する委任がなされた後は、 プロジェクトリーダはその委任を撤回できない。 ただし、職責の一部に対する委任は撤回できる。
他の開発者を支持する。
プロジェクトリーダは、求められた場合 (あるいは求められなくても)、 ある意見やプロジェクトのメンバーに対する支持を表明できる。 ただしこの表明は、プロジェクトリーダがその問題に対する 決定権を持っている場合に限って強制力を持つ。
緊急を要する決定をする。
その決定の緊急性が (適切な対応がとられなかったために) 徐々に増してきたような場合については、これは適用されない。 ただしその事項に決まった締め切りがある場合は適用される。
他に誰も権限を持っていない事項に対する決定をする。
一般決議の草案と、その修正案を提案する。
技術委員会とともに、委員会の新メンバーを任命する (6.2節を見よ)。
開発者の投票において、決定票を投ずる。
プロジェクトリーダは、このような投票において通常の投票権も持つ。
開発者投票において、討論期間を変更する (上記参照)。
開発者間の討論をリードする。
プロジェクトリーダが開発者間の議論に参加する際には、 議論の衝突点を明らかにするよう、 その助けとなるような態度を取るべきである。 プロジェクトリーダは、自らの個人的見解を通すために そのリーダーシップを利用すべきではない。
SPI と共に、Debian に関連した目的のために 信託されている財産に関わる決定をする (9.1節を見よ)。
プロジェクトリーダは、 開発者の意見の総意に添う決定をするよう努めるべきである。
それが役に立つであろう場合には、 プロジェクトリーダは非公式に開発者の見解を求めるべきである。
リーダとしての裁量に基づいて決定をするにあたっては、 プロジェクトリーダは自らの見解を過度に打ち出すべきではない。
技術委員会は以下の権限を持つ。
技術的な方針に関するあらゆる事項に関して決定をする。
これには、技術的方針マニュアルの内容、 開発者のリファレンス類、見本パッケージ、 実用段階のパッケージ構築ツールの動作などが含まれる (しかし各事項に対する最初の決定は、 まずそのソフトウェアや文書のメンテナが行う。6.3節(5) を見よ)。
複数の開発者の管轄権が絡む技術的問題を判断する。
複数の開発者間で技術的方針や立場を調整する必要があるとき (たとえば競合するパッケージ間の優先順位、 コマンド名の所有権、 あるバグが (バグであることは関係者全員が認めているとして) どのパッケージの責任なのか、 あるパッケージのメンテナが誰か、 などについて開発者間で意見の相違があるとき)、 技術委員会はその件に関する決定を行える。
要請された場合、決定をする。
あらゆる個人または組織は、 自らの決定を技術委員会に委任できる。 あるいは技術委員会に助言を求めることができる。
開発者の決定を覆す (3:1 の賛成多数が必要)。
技術委員会は開発者に対し、ある種の技術的な一連の作業を (その開発者が望まない場合でも) するよう要求できる。 これには 3:1 の賛成多数を必要とする。 例えば、技術委員会はバグ報告者の修正要求を正当なものとし、 その報告者の提案する解決案を実施すべきであると決定できる。
答申をする。
技術委員会は、どのような件に関しても、 委員会の正式見解を公表してよい。 技術委員会の個々のメンバーは、 もちろん自分の見解や技術委員会の見解 (とそのメンバーが考えるもの) に関する非公式な声明を発してよい。
プロジェクトリーダとともに、技術委員会自身の新メンバーを任命し、 また現在のメンバーを解任する (6.2節を見よ)。
技術委員会の議長を任命する。
議長は技術委員会のメンバーのなかから互選される。 技術委員会の全メンバーが自動的に立候補したとみなされ、 議長が空席となる一週間前から (あるいはすでにそれ以下の期間しかなくなっている場合には即時に) 委員会内部での投票が行われる。 委員会の各メンバーは、自分自身を含む委員会メンバーに対し、 公開票を投ずることができる。デフォルトの選択肢はない。 投票は全メンバーの投票が終了した時点、 あるいは投票期限が過ぎた時点で終了する。 結果は「標準議事手順 (Standard Resolution Procedure)」の A.6節で指定される方法によって決定される。
議長はプロジェクト書記とともにリーダを代行できる。
7.1節(2) に述べる通り、技術委員会の議長とプロジェクト書記とは、 リーダ不在の際に共同でリーダを代行できる。
技術委員会は 8 名以下の開発者から構成される。 また通常は少なくとも 4 名のメンバーを持つべきである。
技術委員会のメンバー数が 8 名未満である場合、 技術委員会はプロジェクトリーダに新メンバーを推薦でき、 プロジェクトリーダは (各人ごとに) 任命の採否を決定できる。
技術委員会のメンバー数が 5 名以下である場合、 技術委員会は新メンバーを総メンバー数が 6 名に達するまで任命できる。
技術委員会のメンバー数が 5 名以下である状態が一週間以上続いた場合、 プロジェクトリーダは新メンバーを総メンバー数が 6 名に達するまで任命できる。 ただし、この場合は一人任命するごとに 一週間以上の間隔を取らなければならない。
技術委員会とプロジェクトリーダが合意した場合、 技術委員会のメンバーを解任もしくは交代させることができる。
技術委員会は「標準議事手順 (Standard Resolution Procedure)」 を用いる。
技術委員会の各メンバーは、決議文の草案あるいは修正案を提案できる。 最短の討論期間は定めない。投票期間は一週間、 または結果が確定するまで続く。 メンバーは自分の投票を変更できる。必要最低得票数は 2 である。
投票に関する詳細
議長は決定票を持つ。技術委員会の投票が、 委員会のメンバーでもある開発者の決定を覆すかどうかに関するものの場合は、 そのメンバーは投票してはならない (ただしそれが議長の場合には、決定票の投票権だけは持つ)。
討論と決定の公開
技術委員会のメンバーによる討論、決議文の草案、修正案、投票は、 技術委員会の公開議論用メーリングリストにおいて公表される。 委員会にはメンバー以外の書記を置くことはしない。
任命に関する討議の秘密性
技術委員会メンバーの任命に関する議論においては、 技術委員会は個人宛て電子メールや非公開メーリングリストなどを用いて 非公開の議論をしてよい。 ただし任命に関する投票は公開しなければならない。
詳細な策定作業の禁止
技術委員会は新しい提案や方針の立案には関与しない。 そのような立案作業は、各個人がひとりで、 あるいは通常の技術方針立案の場で議論しながら共同で、 行われるべきものである。
技術委員会がする作業は、 複数の解決法や決断の中から選択をしたり、 それらの折衷案を採ったりすることに限られる。 それらの案は、他の場所で提案され、 そこで充分な議論を受けたものであるべきである。
技術委員会の個々のメンバーが個人の立場で、 計画や方針の策定作業の各段階に参加することは、 もちろん許される。
技術委員会はやむを得ない場合に限って決定をする。
技術委員会が技術的な決定をするのは、 合意による解決の努力の試みが失敗した後、 または本来その決定に責任を持つ個人や組織から要請された場合、 に限られる。
書記は以下の権限を持つ:
憲章に規定されている場合に、開発者からの投票を受け、 その計数と投票有効性の認証をする。
技術委員会の議長と共同で、リーダを代行できる。
プロジェクトリーダが不在の際、 技術委員会の議長とプロジェクト書記の両名は、 両者が緊急と考えた場合には、 合意に基づいて決定を行える。
憲章の解釈に関する論争に対して裁定をする。
自己の権限の一部あるいは全体を他人に委任できる。 またその委任をいつでも撤回できる。
プロジェクト書記は、プロジェクトリーダと 現在のプロジェクト書記とによって指名される。
プロジェクトリーダと現在のプロジェクト書記との間で、 この指名に関して合意ができなかった場合には、 両名は SPI の役員会 (9.1節を見よ) に書記の指名を依頼しなければならない。
プロジェクト書記が不在または職務を遂行できない状態であり、 かつ決定権限の委任をしていない場合は、 技術委員会の議長が臨時代理としてプロジェクト書記のすべき決定をしたり、 適当な者に委任したりできる。
プロジェクト書記の任期は一年である。 期間満了後は、自分自身あるいは他の者を (再) 指名しなければならない。
プロジェクト書記は、公正かつ妥当な、 またできれば開発者の総意に矛盾しないような決定をすべきである。
プロジェクトリーダが不在の際に 技術委員会の議長とプロジェクト書記の両名がその代理をする場合には、 決定をするのは絶対に必要不可欠な事柄に限るべきであり、 かつその決定は開発者の総意に矛盾しないようにすべきである。
プロジェクトリーダ代行者は以下の権限を持つ。
代行者はプロジェクトリーダによって、 プロジェクトリーダの自由裁量に基づき、 任命されあるいは解任される。 ただしプロジェクトリーダは、 代行者の役職をその代行者の特定の判断によって左右したり、 代行者のした決定を変更したりすることはできない。
代行者は、当人が適切と考えるように決定をしてよいが、 それが技術的に良いものであるよう、 また開発者の総意に則るよう、努めるべきである。
SPI と Debian は、いくつかの目的を共有する、別々の組織である。 Debian は SPI によって提供される法的支援の枠組みに感謝する。
現在のところ Debian の開発者は、 開発者であることをもって同時に SPI のメンバーとなる。Debian は金銭や財産を保有する権限を有しないため、 Debian プロジェクトに対する寄付は、 そのような事柄を管理する SPI に対してなされなければならない。
SPI は以下を委託されている。
この規則は、委員会および構成員が、 上述してきたような局面で、 集団として意思決定をする際に適用される。
正式な手続きは、 議決文の草案が必要な人数の発起人とともに提案された時点から始まる。
決議文や不採択となった修正案の提案者は、その提案を撤回できる。 その場合には、他の者が提案者となってその提案を引継ぐことができる。 引継ぐ場合には、最初に引継ぎを通告した人が新たな提案者となり、 それ以外の人は (まだ賛同者がいない場合は) 賛同者になる。
決議文や修正案の賛同者は、(それらがまだ採択されていない限り) 賛同を撤回できる。
提案者もしくは賛同者の撤回によって、 決議文の提案者がいなくなったり賛同者の人数要件を満たさなくなった場合には、 その決議文が期限切れによって廃案となる前にその状況が修復されない限り、 その決議文の投票は行われない。
もし提案された決議が四週間にわたって討論、修正、投票されず、 その他の何らかの処置の状態にもない場合には、 書記はその提案は撤回されたとの宣言を発することができる。 そのいずれかの提案の賛同者が、一週間以内に誰も反対しなければ、 その議題は撤回される。
適切な場合には、書記はその後どのようにするかを同時に提案しても良い。
注意: 投票者がデフォルトの選択肢よりも上位に置いた選択肢は、 受け入れられるとみなした選択肢である。 デフォルトの選択肢よりも下位に置かれた選択肢は、 受け入れられないとみなした選択肢である。
標準議事手順を用いようとする場合には、 その文脈で、決議文草案の提案・賛同に必要なもの、 最短の討論期間、投票期間、を定めなければならない。 また超過半数を必要とするかどうか、 必要最低得票数 (およびデフォルトの選択肢) を用いるかどうか (用いる場合にはその数)、 についても記述しなければならない。
現在形はその文が本憲章における規則であることを意味している。 「してもよい」または「できる」という語は、 個人もしくは組織が選択できることを示している。 「べきである」という記述は、 その文の内容に従うことが望ましいと考えられるが、 義務ではないことを示している。 引用としてマーキングされた文 (こんな風に) は注釈を示し、 憲章の一部ではない。 これは疑問が生じた場合の解釈の助けにのみ用いる。
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Last Modified: Sat, Feb 14 02:14:38 UTC 2004
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