UDP ソケットが生成されるとき、 ローカルアドレスやリモートアドレスは指定されない。 正しい行き先アドレスを引数として sendto(2) や sendmsg(2) を呼べば、データグラムはただちに送信される。 ソケットに対して connect(2) を呼ぶと、デフォルトの行き先アドレスが設定され、 send(2) や write(2) を使って、行き先アドレスの指定なしにデータグラムを送信できるようになる。 この場合でも、行き先アドレスを sendto(2) や sendmsg(2) に渡せば、デフォルト以外のアドレスに送信可能である。 パケットを受信するために、まずソケットを bind(2) を用いてローカルなアドレスにバインドさせることもできる。 そうでない場合は、ソケット層は自動的に net.ipv4.ip_local_port_range で定義されている範囲の外で空いているローカルなポートを割り当て、 ソケットを INADDR_ANY にバインドする。
受信動作はパケットを一つだけ返す。渡したバッファよりもパケットが 小さければ、そのパケットの大きさのデータだけが返される。 逆にバッファよりも大きい場合はパケットは丸められ、 MSG_TRUNC フラグがセットされる。 MSG_WAITALL はサポートしていない。
IP オプションは、 ip(7) に記述されているソケットオプションを用いて読み書きできる。 これらは適切な sysctl が有効な場合に限ってカーネルによって処理される (しかし無効になっている場合でもユーザーには渡される)。 ip(7) を参照のこと。
MSG_DONTROUTE フラグが送信時にセットされている場合には、 行き先アドレスはローカルなインターフェースアドレスから 参照できなければならない。パケットはそのインターフェースにしか送られない。
デフォルトでは、Linux の UDP は Path MTU Discovery を行う。 つまり、カーネルは特定の宛先 IP アドレスの MTU (Maximum Transmission Unit; 最大転送単位) を記録し、UDP パケットの書き込みが MTU を超えた場合 EMSGSIZE を返す。 EMSGSIZE を返された場合、アプリケーションはパケットサイズを小さくすべきである。 ソケットオプション IP_MTU_DISCOVER または ip_no_pmtu_disc sysctl を使って Path MTU Discovery を無効にすることもできる (詳細は ip(7) を参照)。 Path MTU Discovery を無効にした場合は、パケットサイズが インタフェースの MTU よりも大きいと UDP はそのパケットを フラグメント化して送出する。 しかしながら、性能と信頼性の理由から Path MTU Discovery を 無効にするのは推奨できない。
Linux 2.0 と 2.2 では、古いコードとの互換性のために、 SO_BSDCOMPAT SOL_SOCKET オプションを設定すれば、ソケットが接続されている 場合に限ってリモートのエラーを受信するようにできた (EPROTO と EMSGSIZE を除く)。 ローカルで生成されたエラーは常に渡される。 このソケットオプションのサポートはそれ以降のバージョンの Linux で 削除された。詳細は socket(7) を参照。
IP_RECVERR オプションが有効になっていると、 すべてのエラーはソケットのエラーキューに保存される。 これは MSG_ERRQUEUE フラグをセットして recvmsg(2) を呼べば受信できる。
int value; error = ioctl(udp_socket, ioctl_type, &value);
さらに、 ip(7) と socket(7) で述べられている全ての ioctl も対応している。
RFC 768 : User Datagram Protocol
RFC 1122 : ホストの必要条件
RFC 1191 : path MTU discovery の記述