MSGOP
Section: Linux Programmer's Manual (2)
Updated: 2006-02-02
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名前
msgop, msgrcv, msgsnd - メッセージ操作
書式
#include <sys/types.h>
#include <sys/ipc.h>
#include <sys/msg.h>
int msgsnd(int msqid, const void *msgp, size_t msgsz, int msgflg);
ssize_t msgrcv(int msqid, void *msgp, size_t msgsz, long msgtyp,
int msgflg);
説明
システムコール
msgsnd()
と
msgrcv()
はそれぞれ、メッセージ・キューへのメッセージの送信と、
メッセージの受信に使用される。呼び出し元プロセスは、
メッセージを送信するためにはメッセージ・キューに対する書き込み許可を、
メッセージを受信するためには読み出し許可を持っていなければならない。
呼び出し元プロセスは以下に示す構造体を用意し、この構造体への
ポインタを
引き数として渡す。
struct msgbuf {
long mtype; /* message type, must be > 0 */
char mtext[1]; /* message data */
};
mtext
フィールドは配列 (または他の構造体) で、その大きさは
非負の整数である
msgsz
で指定される。
長さ 0 のメッセージ (つまり
mtext
フィールドがないメッセージ) も認められている。
mtype
フィールドは厳密に正の整数でなければならない。
この値は、メッセージを受信するプロセスでメッセージを選択するために
使用される (下記の
msgrcv()
の説明を参照のこと)。
msgsnd()
システムコールは
msgp
引き数で指定されたメッセージのコピーを
msqid
で指定された識別子を持つメッセージ・キューへ追加する。
キューに十分な空き容量がある場合、
msgsnd()
は直ちに成功する。
(キューの容量は、メッセージ・キューのデータ構造体の
msg_bytes
フィールドで定義される。
キュー作成時にこのフィールドは
MSGMNB
に初期化されるが、この制限は
msgctl(2)
を使って変更できる。)
キューに十分な空き容量がない場合、
デフォルトでは
msgsnd()
は空き容量ができるまで停止 (block) する。
msgflg
に
IPC_NOWAIT
が指定された場合は、エラー
EAGAIN
で失敗する。
キューが削除された場合か、シグナルを受けとった場合、
停止している
msgsnd()
は失敗する
(キューが削除された場合は
EIDRM
が、シグナルを受信した場合は
EINTR
が
errno
に設定される)。
(msgsnd と msgrcv
は、たとえシグナルハンドラの設定時に
SA_RESTART
を指定していたとしても、シグナルハンドラによって割り込まれた後で
自動的に再スタートすることは決してない。)
正常に終了した場合、メッセージ・キューのデータ構造体は以下のように
更新される:
-
msg_lspid
には呼び出し元プロセスのプロセス ID が設定される。
-
msg_qnum
は 1 増加する。
-
msg_stime
には現在時刻が設定される。
msgrcv()
システム・コールは
msqid
で指定されたキューからメッセージを削除し、
msgp
で指定されたバッファにそのメッセージを格納する。
msgsz
引き数には
msgp
引き数で指定された構造体の
mtext
メンバーの最大のバイト数を指定する。
メッセージのテキストの長さが
msgsz
より大きい場合の動作は、
msgflg
に
MSG_NOERROR
が指定されているかどうかで決まる。
MSG_NOERROR
が指定されていれば、メッセージのテキストは切り詰められる
(切り捨てられた部分は失われる)。
MSG_NOERROR
が指定されていなければ、メッセージはキューから削除されず、
システムコールは -1 を返して失敗し、
errno
に
E2BIG
が設定される。
msgtyp
引き数には要求するメッセージの型を指定する。
型は以下のように指定する:
-
msgtyp
が 0 ならば、キューの最初にあるメッセージが読み込まれる。
-
msgtyp
が 0 より大きい場合、
msgflg
に
MSG_EXCEPT
が指定されていなければ、
msgtyp
型のキューの最初のメッセージが読み込まれる。
MSG_EXCEPT
が指定された場合は、
msgtyp
型以外のキューの最初のメッセージが読み込まれる。
-
msgtyp
が 0 より小さければ、
msgtyp
の絶対値以下で最も小さい型を持つキューの最初のメッセージが読み込まれる。
msgflg
引き数には、以下のフラグを任意の数だけ (0個も可)、これらの OR で指定する:
- IPC_NOWAIT
-
キューに要求された型のメッセージがない場合には直ちに返る。
システムコールは失敗し、
errno
には
ENOMSG
が設定される。
- MSG_EXCEPT
-
0 より大きな
msgtyp
と一緒に使用して、
msgtyp
以外のキューの最初のメッセージを読み込む。
- MSG_NOERROR
-
msgsz
バイトよりも長かった場合はメッセージのテキストを切り詰める。
要求された型のメッセージが存在せず、
msgflg
に
IPC_NOWAIT
が指定されていなかった場合、呼び出し元プロセスは
以下のいずれかの状況になるまで停止 (block) される:
-
要求している型のメッセージがキューへ入れられた。
-
メッセージ・キューがシステムから削除された。
この場合、システムコールは失敗し、
errno
に
EIDRM
が設定される。
-
呼び出し元プロセスがシグナルを捕獲した。
この場合、システム・コールは失敗し、
errno
に
EINTR
が設定される。
実行に成功した場合、メッセージ・キューのデータ構造体は以下のように
更新される:
-
msg_lrpid
には呼び出し元プロセスのプロセス ID が設定される。
-
msg_qnum
は 1 減算される。
-
msg_rtime
には現在の時刻が設定される。
返り値
失敗した場合は、どちらの関数も -1 を返し、エラーを
errno
に表示する。成功した場合、
msgsnd()
は 0 を返し、
msgrcv()
は
mtext
配列に実際にコピーしたバイト数を返す。
エラー
msgsnd()
が失敗した場合、
errno
に以下の値のいずれかが設定される:
- EACCES
-
呼び出し元プロセスにはメッセージ・キューに対する書き込み許可がなく、
CAP_IPC_OWNER
ケーパビリティもない。
- EAGAIN
-
msg_qbytes
がキューの制限を超えていたため、メッセージを送ることができず、かつ
msgflg
に
IPC_NOWAIT
が指定されていた。
- EFAULT
-
msgp
が指しているアドレスがアクセス可能でない。
- EIDRM
-
メッセージ・キューが削除された。
- EINTR
-
メッセージ・キューが要求した条件を満たすまで停止している時に、
プロセスがシグナルを捕獲した。
- EINVAL
-
msqid
が不適切な値であるか、
mtype
が正の値でないか、
msgsz
が不適切な値 (0 以下か、システムで決まる値
MSGMAX
よりも大きい値) である。
- ENOMEM
-
msgp
が指すメッセージのコピーを作成するのに十分なメモリがシステムに存在しない。
msgrcv()
が失敗した場合には
errno
に以下の値のいずれかが設定される:
- E2BIG
-
メッセージのテキストの長さが
msgsz
よりも大きく、
msgflg
に
MSG_NOERROR
が設定されていなかった。
- EACCES
-
呼び出し元プロセスにはメッセージ・キューに対する読み込み許可がなく、
CAP_IPC_OWNER
ケーパビリティもない。
- EAGAIN
-
キューにはメッセージがなく、
msgflg
に
IPC_NOWAIT
が指定された。
- EFAULT
-
msgp
が指しているアドレスがアクセス可能でない。
- EIDRM
-
メッセージを受信するためにプロセスが停止している間に、
メッセージ・キューが削除された。
- EINTR
-
メッセージを受けるためにプロセスが停止している間に、
プロセスがシグナルを捕獲した。
- EINVAL
-
msgqid
が不正か、
msgsz
が 0 より小さい。
- ENOMSG
-
msgflg
に
IPC_NOWAIT
が設定されており、
メッセージ・キューに要求された型のメッセージが存在しなかった。
準拠
SVr4, POSIX.1-2001.
注意
msgp
引き数は、 libc4, libc5, glibc 2.0, glibc 2.1 では
struct msgbuf * と宣言されている。glibc 2.2 以降では、
SUSv2 と SUSv3 の要求通り、void * と宣言されている。
以下は
msgsnd
システム・コールに影響するシステム制限である:
- MSGMAX
-
メッセージのテキストの最大サイズ: 8192 バイト
(Linux では、この制限値は
/proc/sys/kernel/msgmax
経由で読み出したり変更したりできる)。
- MSGMNB
-
バイト単位でのメッセージ・キューのデフォルトの最大サイズ : 16384 バイト。
(Linux では、この制限値は
/proc/sys/kernel/msgmnb
経由で読み出したり変更したりできる)。
スーパーユーザーは
msgctl(2)
システムコールでメッセージ・キューのサイズを
MSGMNB
よりも大きい値に増やすことができる。
現在の実装では、システム全体のメッセージ・ヘッダーの最大数
(MSGTQL)
と、システム全体のメッセージ・プールの最大バイト数
(MSGPOOL)
に関して実装依存の制限はない。
関連項目
msgctl(2),
msgget(2),
msgrcv(2),
msgsnd(2),
capabilities(7),
mq_overview(7),
svipc(7)
Index
- 名前
-
- 書式
-
- 説明
-
- 返り値
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- エラー
-
- 準拠
-
- 注意
-
- 関連項目
-
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Time: 04:31:54 GMT, November 19, 2007