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ここで、今回用いたシミュレーションの特徴を紹介したいと思います。
開発当初からのモンテカルロシミュレーション法では、スパッタ粒子の初期速度が大きいことを理由に、ガスの原子や分子の運動を無視し、静止しているものと仮定していました。したがってスパッタ粒子の速度が下がった後は、ランダムウォークによって到達する壁を決定していました。
これに対し、1997年に我々が開発したモデルでは、ガスの運動をMaxwell分布と仮定して、衝突するガスの方向やエネルギーの分布を求めました。これはスパッタ粒子の速度によって変化する分布関数となります。
これによって、ガスの速度が低く、運動エネルギーが小さくなった場合でも妥当なシミュレーションができ、今回のような通過時間を求めることが可能になっています。